風雲児たち 幕末編 31巻 読了
こんばんは、2018年はNHK正月時代劇で三谷幸喜さん脚本で「風雲児たち」をやるという、昔のことを考えると「とんでもない大出世をされたものだ」と思ったのですが、2019年は歌舞伎座6月夜の部にて三谷かぶき「月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)」風雲児たちを公演するということで、2年連続の快挙に驚いている、チャリ通です。みなもと太郎さんのマンガであるこの作品のファンであることを、数十年前から三谷幸喜さんが公言していたので何の異論もないのですが、「やりたい!」って言うと何でもとおってしまう三谷幸喜さんの超大物ぶりが際立ちます。
今回は大黒屋光太夫の話を歌舞伎化するそうで、昨年襲名した松本幸四郎さんが大黒屋光太夫役(松本白鸚さんが三谷ファミリーだからと思われる)、NHK正月時代劇では主演だった片岡愛之助さん(ロシアに留まることになる新蔵役なので超重要な役)も出演し、歌舞伎ですが八嶋智人さん(帰国を手助けするラックスマン役)の名前もあります。30巻の記事でも書いておりますが、大黒屋光太夫のお話はNHK大河ドラマでやれば絶対にヒットすると思われる長編冒険ドラマですが、NHK大河ドラマの予算では実現不可能と思えるくらい大変すぎるストーリーでもあるので、歌舞伎でやってしまうのは良いと思います。いやいや、これは楽しみです。
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2018年11月末日に半年ごとのマンガ購入である「風雲児たち 幕末編 31巻」が発売されました。すぐに購入して2018年のうちに読んだのですが、昨年から頻繁に記事化出来ていないため、平成最後の日まで記事化が遅れました(夏には32巻が出ちゃうでしょうし・・・)。
今回の帯コメントは「NHK正月時代劇 風雲児たち~蘭学革命篇~」の演出をされた吉川邦夫さんです。巻末にはみなもと太郎さんとの対談が入っております。
31巻でも「文久遣欧使節(日露国境線交渉) 」 「安政の大獄の大赦令」「政事総裁職 松平春嶽」「参勤交代の廃止」「生麦事件発生直前」などと目白押しです。
そう言えばこの漫画で描かれているような外交交渉を、今現在湘南ベルマーレサポーターが最前線で行っております。この漫画の「ギャグで描いた激熱交渉」のノリで外交やっていないとは言い切れない「湘南圧勝」大臣・・・。
リヤドでこれからサルマン国王陛下に拝謁するために、宿舎でお呼び出しを待って待機中。今日はその後、ジュベイル外務担当国務大臣、アッサーフ外務大臣、そして皇太子殿下にお目にかかります。
— 河野太郎 (@konotarogomame) 2019年4月28日
そこにベルマーレ圧勝の知らせが!!
国王陛下にもベルマーレ圧勝をお伝えすべきだろうか。
幕末ドラマにしても受験の日本史にしても、名前はよく出てくるけどそれだけの人「松平春嶽(福井藩主)」ですが、この巻で「橋本左内など超優秀な人がお膳立てをしたから名前が出ただけであって、彼らを排除されてしまうと何もできない人」という主旨でハッキリ説明されてしまい、とても腑に落ちました。みなもと太郎さんは島津久光についても田舎者(大名になったこともないし、側室の子なので江戸住まい経験もないので、ほとんどが江戸育ちの他大名と話が合うわけがないが、明仁上皇様以降は島津久光の子孫なので昭和20年までは良い評価だった)で無能ということを鮮明にしていてまるで池上彰さんみたいですが、理由を説明してくれないとわからないのですから、「無難な千文字より効果的な1コマ」だと思います。
安政の大獄の恩赦をなぜ行ったかは説明したものの、一橋慶喜がなぜ難色を示し、安島帯刀は絶対に許してはいけないと主張した理由はあやふやにしましたが、後のページで「安政の大獄での処罰は間違い」を公式に認めることで「安政の大獄での処罰された者たちのやっていたこと(尊王)は正しい」と公式に認めたことになって、とても腑に落ちました。
幕府側の対応に大久保一蔵が対策を返すさまも見ごたえがありましたが、関係ないところから生麦事件が発生してしまうというところでこの巻は終わります。
学力テストのための日本史だと項目だけ覚える作業になってしまいますが、この作品だと理由や経緯がわかります。このマンガを読むメリットは、歴史を箇条書きではなく体系的に説明し、しかも大河ドラマのような一代記ではなく百年単位で世代をつなげて説明するのが、素晴らしいと思います。おなじリイド社より「風雲児たちガイドブック 解体新書」という解説本も別途発売されました。第1話が機動戦士ガンダム(「まんがはじめて物語」に視聴率で敗れて打ち切り)・テレビ朝日版ドラえもん・3年B組金八先生第1シリーズと同期の昭和54年(1979年/ガッチャマン・宇宙戦艦ヤマト・銀河鉄道999・ルパン三世第2シリーズ・ベルサイユのばらが現役で放送中で、1月までヤッターマンもやっていたというなかなかレジェンドな年)で、オイラも途中参戦(読者の中では若手)ですからねえ・・・。作者は70歳になりました・・・。
明治政府成立に近づくほど、複数のストーリーが同時進行で進むのに、物語としてはひとつずつ説明しなければいけないため、「最新巻を読むために、以前の巻を復習用に手元に置いておかなければいけない」ところが厳しいのですが、こればかりはしょうがないです。歴史も結局ひとりひとりのドラマをつなげたもの(このマンガはチャカしていて、中には名誉毀損気味な描かれ方のひともいるけど・・・)ですから、センター試験の日本史のような箇条書き的なものではなく、面白いものだと思います。
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